トランシーバーの基礎知識|チャンネル数が多いトランシーバーがいい理由
業務に利用するためにトランシーバーの導入を考えている方はたくさんいると思います。しかし使い方がイマイチわからないとお悩みではないでしょうか。特にチャンネルのシステムはなんとなく難しそうに見えるものですよね。ここではトランシーバーのチャンネルについて、そしてそのチャンネルの数が多いトランシーバーがおすすめの理由を紹介します。
そもそもチャンネルって?
トランシーバーにおけるチャンネルとは、通信が出来る周波数のことを指します。周波数もよく耳にするものの実際のところどんなものなのかよくわからない単語ですが、トランシーバーなどの無線通信機器の場合の周波数は、簡単に言うと電波の通り道のことです。周波数はメガヘルツ(MHz)やキロヘルツ(kHz)などの単位で表されます。
そしてチャンネルというのはその中の特定の周波数に、1チャンネル・2チャンネルといった名前を割り当てた状態のものを表しているので、つまりトランシーバーの場合チャンネルと周波数はほとんど同じ意味だと思って問題ありません。
ラジオを聴くときは各局の周波数に自分のラジオを合わせますが、トランシーバーの仕組みはラジオと同じで、送信側と受信側のチャンネルを合わせることで音声のやり取りが出来るようになっています。
どうしてチャンネル数が多いと便利なのか
トランシーバーは機種ごとにチャンネル数が違います。そしてチャンネル数は多いほど便利です。理由は単純で、チャンネルが多ければそれだけたくさんのグループで通信が出来るからです。
例えば35チャンネルあるトランシーバーなら、1チャンネルは全体通話、2チャンネルは○○さん、3チャンネルは〇〇さん……というふうに用途に応じて最大35のグループでの会話が可能になります。電話帳に35件の連絡先が登録されているようなものだといえるでしょう。
同じ電話帳に登録されているとしてもそのうちの誰かと電話しているときは別の人にその声が聞こえないのと同じで、トランシーバーでも一つのチャンネルで話している音声は別のチャンネルでは聞こえないようになっています。
トランシーバーにはテレビなどと同じようにアナログのものとデジタルのものがありますが、一般的なアナログのトランシーバーのチャンネル数は16か35、デジタルのトランシーバーのチャンネル数は30チャンネルになっています。
チャンネル数が多いほどさまざまな用途に使うことが出来るので便利ですが、持て余すほどチャンネルがあっても仕方ありません。自分がどういった目的で使う予定なのかを出来るだけしっかり想定したうえで選ぶのがおすすめです。
同じチャンネルでも通話できないことがある!?
注意しなければいけないのが、同じチャンネルを使いさえすれば必ず通話できるわけではないというところです。アナログの場合に限りますが、基本的にアナログ無線機は同じ会社の機種同士でなければ通信できません。たとえ同じチャンネルに合わせていたとしても、送信側と受信側が別の会社の無線機を使っていると通信は成立しません。これは会社ごとに使われている周波数が違うためです。
デジタル無線ならそうした問題はなく、別の会社の無線機同士でも通信できます。ただ、ここでも注意点が一つあります。デジタル無線はアナログと比べると第三者からの傍受や電波の混線が起きやすくなっているため、秘話設定というモードにすることが可能になっています。これは同じ周波数にしているだけでなく特定のコードを共有している無線機同士だけが通信できるというモードなのですが、この設定がしてある場合、他社の無線機とは通信できません。
秘話設定は機密性の高い内容をやり取りするには欠かせない設定ですが、その設定をオンにするときは通信する相手の機器が同じ会社のものかどうかには充分気を付けるようにしましょう。
また、無線の電波はかなり狭い周波数帯でそれぞれに振り分けられているので、たくさんのグループが一か所に集まっていたりすると、音声にノイズが入ったり混線してしまうということが起きかねません。そうした事態に備えて、普段使うチャンネルとは別にいざという時に使える予備のチャンネルも用意しておくとよいでしょう。
ちなみに、アナログ無線は電波法という法律の改正に伴って2022年以降は使用できなくなることが決まっています。アナログにはアナログの、デジタルにはデジタルの良さがあるので少し寂しいところですが、もしアナログ無線の導入を検討している場合はそのことも頭にとどめておくのをおすすめします。
まとめ
トランシーバーはチャンネル数が多いほどさまざまな用途に使うことができます。しかし高性能なものは購入するにしてもレンタルするにしてもかかる費用が高くなるものです。そこまでたくさんのチャンネルを必要とする使い方はしないという場合もあるかと思うので、あくまでも自分の目的に合ったトランシーバーを選ぶようにしましょう。